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剱御前小屋で荷を下ろし、来た方向を振り返った。
土曜からの三日間、ずっと快晴で僕達を迎えてくれた剱岳はガスに隠れようとしている。

満足したような、まだ物足りないような。
最高の三日間を与えてくれた剱岳に感謝しつつ、僕達は再び荷を背負って室堂へと下り始めた。
室堂へ近づくと、人がどんどん増えてくる。帰ってきた実感がわいてくる。
バスターミナルで再度振り返る。さっきまでいた剱御前もガスに覆われ始めた。
ガスはそのままとどまり続け、ついに剱岳はその姿を再び見せることはなかった。

遅くなりましたが、土曜からの三日間、1川さんとK津の2名で剱岳に行って来ました。

【行程】
8/21 06:20 立山発
   08:00 室堂発
   09:20 剱沢小屋
   11:00 (武蔵谷と平蔵谷の間の沢)遡行開始
   15:00 前剱付近稜線に抜ける
   16:20 剱岳本峰
   18:20 三の窓

8/22 06:30 チンネ左稜線取付
   11:30 チンネの頭
   13:00 中央チムニー取付
   16:00 gチムニーcクラックdクラック経由チンネの頭
   17:00 三の窓

8/23 05:30 中央チムニー取付
   08:30 aバンドbクラック経由チンネの頭
   11:00 長次郎谷出合
   12:30 剱沢小屋
   13:10 剱御前小屋
   14:40 室堂着

【印象】
岩の風化が激しい部分が多く見られ、特に本峰~三の窓の北方稜線で通過に困難な箇所があった。
具体的には長次郎の頭付近と、八つ峰のコル~三の窓のガレ場。
チンネのルートも安定しないホールドが多く、カムを挟んで引いたら割れるということもしばしば。
またそういった状態のため確保支点、中間支点を問わず残置はあまり信用できない。

【状態】
平蔵谷 : 出合~S字雪渓までは雪渓がつながっている。
長次郎谷: 出合付近で崩壊しているが、その他は熊の岩付近まで雪渓がつながっている。
三の窓 : 雪渓はつながっていないが、コル付近は雪渓が残る。水はコルより下り10分、登り15分。
携帯電話: auは稜線で大方3本。但しメールは送れない。
ガス  : 寒冷地用でなくとも問題なく作動。
チンネの頭

【総括】
とにかく三日間快晴と最高の天気でした。
夜はシュラフカバーだけではやや寒いくらいであったものの、登攀中は日差しで暑いくらい。
個人的には1川さんにみっちりご指導頂きながら登ることができ、非常に勉強になりました。
二人とも足に豆ができたくらいで怪我もなく、その点でも良い結果に収めることができました。
1川リーダーにはこの場を借りて、改めて感謝いたします。
【8月21日 土曜日/快晴】
前夜から立山の駐車場に入り、仮眠。
翌朝ケーブルカー駅に向かうが予想外の混雑。皆さん先週のリベンジか?と思いきや
富山県民感謝デーの初日で、県民は3割引だったらしい。みんな富山県民か。

ケーブルカーはチケット購入時に時間が指定され、搭乗の10分前にゲートに行けば
それまでは並ぶ必要なし。
何たる親切設計!やるな立山・・・と思ったのは最初だけ。
室堂からのバスは相変わらず並ばなければなりません。

平蔵谷出合(と思い込んでいた出合)までは快調に進む。
地獄谷付近は硫黄への注意を促すアナウンスが日本語、英語、中国語でひっきりなしに流れる。
英語の人の地名の発音がやたらいい。(美女平=「ベィジョダァイラ」など)

今日の目標は源次郎1峰の正面壁。平蔵谷を少し登ったところから岩壁に取り付く。
・・・はずでしたが、何を思ったか平蔵谷の一本手前、武蔵谷との間の狭い谷を平蔵谷と思い込む。
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その狭い谷、出合からいきなり雪渓が大崩壊。しかしこれを平蔵谷と思っている二人。
「どーします?」「右岸巻いてみようか」と、ブッシュを遡行しだす愚行。
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花粉の攻撃に晒され、くしゃみをしながら1時間。正面に前剱が見え、間違いにようやく気づく。
しかし既に谷も中腹。下降も支点が乏しく容易ではない。
ただ地形図を見る限り稜線まで詰められないこともない。
とはいえかなり切り立った谷を、ひたすら遡行して稜線へ。前剱と一服剱の間に飛び出しました。

結局源次郎の登攀は諦め、予定を早めて三の窓へ。
本峰までは非常に整備が行き届いており、岩も安定していました。
但し北方稜線に入った途端ボロボロ。ガレが多く踏み跡も安定せず。
夕暮れとの競争でどうにか三の窓に到着しました。
水汲みは明日にし、担ぎ上げてきた3Lでしのぐことに。
満月に近い月が出ていましたが、チンネの向こうに月が隠れると星空が。明日の予定を確認して就寝。
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【8月22日 日曜日/快晴】
05:00起床。ツェルトから顔を出すと丁度稜線が青紫に、そして赤紫にと移り変わる時でした。
朝食を取り、水場を探して行動用の水を汲んでチンネへ。
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①チンネ左稜線
テラスにはたいていスリングやボルトが打ってあり、ピッチを切る場所を教えてくれる。
なのにおかしな場所で確保支点を作るK津。フォローで1川さんが登って来られる度に苦笑い
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すんません、次はもっと落ち着いて支点作ります。
約8ピッチ目の通称「鼻」は、予想以上にでかい岩塔でした。
近くに行けばホールドも豊富で、面白いラインで登れました。
終了点からは昨日のガレ場に降り、再度三の窓へ。
以前は歩いてガレ場まで降りられたものと思われますが、崩壊が進んでかなり切り立っています。
懸垂用の支点が作られており、最近は途中で懸垂を交えるのが通常になっているようです。

②中央チムニーgチムニーcクラックdクラック
軽く昼食を取り、中央チムニーへ。取付までが実はⅠ~Ⅱある。
中央チムニーは2~3ピッチで中央バンドへ。ホールドは豊富ですがたまに狭く、ザックが時折こすれます。
K津はやはり変なところで支点を作る。中央バンドでは太い這い松の幹を見逃して、cクラック上部では
安定したテラスの3メートル下で無理やりピッチを切る始末。
1川さんいわく「甲斐駒にあるビレイ点みたいだなぁ」とのこと。甲斐駒がちょっと怖くなりました。
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終了点は左稜線の終了点とほぼ同じ位置に飛び出す。


帰ってきたら水汲みが待っていました。
二人一緒に行くのも効率的ではないので、男らしくじゃんけんの一発勝負。
じゃーんけーんチョキ!・・・1川さんはグー。このチョキ、空気を読みすぎです。
手持ちの水筒全てを満タンにし、憂いなく夕食、そして就寝。

【8月23日 月曜日/快晴】
3:30起床。既に北アルプスの稜線は曙。紫だちたる雲の細くたなびきたる、いとをかし。
食事をし、ツェルトを撤収して一切合財背負い、また中央チムニーへ。
今日は終了点からそのまま下山ルートに向かう計画。
当初は剱尾根登攀の予定でしたが、三の窓までのガレ場から判断してアプローチがろくでもない状態と
予測。チンネを越えて八つ峰のコルから長次郎雪渓を降りることに。
③中央チムニーaバンドbクラック
北条新村ルートも検討したものの、上部にⅤ級A0のピッチを発見。これはいかん。
荷物もあることから、一番易しいと思われる中央チムニーaバンドbクラックに変更。
中央チムニー部分は昨日と同じラインのため、リードとフォローを逆にして登る。
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最後にセットしたカムが奥で広がっているクラックに設置してしまったため回収不可になりかけたものの、
その他は問題なくチンネを越える。すんません、それセットしたのは僕です。

長次郎雪渓に入ってからは剱沢小屋までアイゼンを装着し、ひたすら歩く。
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雪渓が崩壊している箇所の付近で一部岩を歩く。1川さんがやたら早い。アイゼントレの必要性を感じる。
途中に平蔵谷を発見。間違えて登った谷と幅が全く違う。地図を持っておりながらのこの失態、
今後の戒めとします。IMGP4903_convert_20100826090257.jpg

剱御前からの下りは、1川さんフルスロットル。雷鳥沢を下りるのに、所要時間が実に20分。
室堂が近づくにつれて街の格好をした人が増え、帰ってきたという実感を強めてくれました。

3日間共充実した内容でしたが、とにかく岩がもろい。
雪のある時期のほうが動きやすいのかもしれません。
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